子音で終わる単語の次に、母音や半母音 / j / で始まる単語が来て、それらが一つの意味の塊を成すとき、音の連結(リンキング)が起こります。この曲には語尾の子音と語頭の母音が連結する「’cause I’m = コ ザム」,「nothing is = ナッスィン ギズ」,「hung about = ハン ガバウ」,「think I = スィン カイ」や、半母音 / j / で連結する「take you = テイ キュー」などが出てきます。これらの連結する音を聞き取り、発音する練習をするといいでしょう。
1967年リリースの「John Lennon(ジョン・レノン)」の曲。ビートルズの最高傑作と位置付ける批評家も多い。曲は当時流行していたサイケデリック・ロック、プログレッシブ・ポップ、アシッド・ロックなどの分野に分類されるが、一言でいうと、浮遊感のある神秘的、幻想的、独創的なスローバラード。独特な浮遊感と非現実的な曲調はドラッグLSDの影響と言われるが、前衛的な不協和音ではなく、その音楽性は普遍的で美しい。ちなみに、同年にサイケデリック・ロック系のイギリスのバンド、プロコル・ハルムの名曲「青い影」もリリースされている。
歌詞のモチーフは、ジョンが幼少時代によく遊んだ近所の孤児院「Strawberry Fields」をモチーフにしている。歌詞の「No one I think is in my tree, I mean it must be high or low」 や「Nothing is real」から分かるように、ジョンの天才ゆえの孤独や社会への適合に苦しむ様子が垣間見られる。両A面シングルとして発売されたもう一つのポールの曲「Penny Lane(ペニー・レイン)」もポールの幼少期のリバプールの街並みの描写となっており、共通点がある。なお、この孤児院はその後「Abbey Road(アビイ・ロード)」とならんで、いわゆるビートルズファンの聖地巡礼地として賑わっているが、現在は学習障害を持つ若者のための施設となっている。
この曲の英語発音の特徴はやはり音連結と言える。そもそもジョンの歌い方のクセとして音の連結が強めということもあるが。とくに「Living is easy with eyes closed = リビン ギズ イージー ウィズ アイズ クローズ」 や「but it all works out = バ リ ロー ワークス アウ」,「No one I think is in my tree = ノー ワーナー スィン キ ズィン マイ トゥリー」などの連結は印象深く、「お経」のようにも聞こえる。歌う時はくれぐれも音程に注意。とくに冒頭部分の「Let me take you down cause I’m going to Strawberry Fields」では、元々異なる速度の録音テイクをつなぎ合わせていることで独特の雰囲気を醸し出している。