英語では単語間や音節で / t / や / d / が母音に挟まれる形になると / t / や / d / は「ラ行音」に変化(フラップ現象 = Flap)します。この歌では / t / や / d / が母音に挟まれてラ行音になったり(例えば「daughters = ドーラーズ」,「ready to know = レリ ル ノー」や、次の母音と連結してラ行音になる「out of these waters = アウ ロブ ズィーズ ワーラーズ」,「out of the sea = アウ ロブ ザ スィー」,「part of that world = パーロブ ザッ ワーゥ」など、アメリカ英語に特徴的な発音が多く出てきます。あなたも、アンデルセンではなくアメリカンなアリエルになって歌ってみましょう。
実写版「The Little Mermaid(リトル・マーメイド)」(2023)の挿入歌で「Halle Bailey(ハリー・ベイリー)」が歌う「Part Of Your World(パート・オブ・ユア・ワールド)」、人魚姫アリエルが王子のいる陸の世界を夢見て切々と歌います。アンデルセンの原作では舞台は北ヨーロッパの冷たい海でしたが、なぜかカニのセバスチャンはカリブ訛りの英語で、アリエルは生粋のアメリカ英語なのがDisneyらしくて面白いですね。実はストーリーも原作とは大きく違って、アンデルセン童話では、足を得た人魚姫でしたが、王子と結ばれることはなく、歩くたびに激痛が走る足で、王子の結婚式のために踊り続けます。
「でも人魚姫は足の痛みを感じることはありませんでした。心の痛みの方が大きかったからです(原作より)」。そして最後には海の藻屑となってしまう悲しい物語ですが、ディズニー版では見事ハッピーエンドを迎えます。