I Am The Walrus・The Beatles

【 学習ポイント・音の連結「ing」】

子音で終わる単語の次に、母音や半母音 / j / で始まる単語が来て、それらが一つの意味の塊を成すとき、音の連結(リンキング)が起こります。「~ing」で終わる単語の語尾の「ng」は鼻音なので、文末や次の単語が子音で始まるときに / g / のような破裂音が聞こえることは稀です。ところが、この曲に出てくる「Sitting on a = ィティ ナ」や「Sitting in an English = ィティン ン ナ ングリッシュ」のように「~ing」の後に母音で始まる単語が続く場合 / g / で連結する場合があります。また「Sitting on a = ィティ ナ」や「Sitting in an English = ィティ ン ナ ングリッシュ」と鼻音の / n / で連結することもあるので覚えておきましょう。

1967年、シングル盤「ハローグッバイ」のB面として発売。ジョン・レノンの作詞作曲。イギリスの小説家ルイスキャロルの名作「鏡の国のアリス」の「セイウチと大工」のチャプターから着想を得ているが、セイウチ以外は出てこない。しかし、アリスの話は当時近代化を成し遂げたイギリスの合理主義や効率主義に対するアンチテーゼであるポストモダンを代表する文学であり、このI Am The Walrusもそういういう意味でナンセンスな歌詞となっている。すなわち「意味のないことに意味がある」ということ。歌詞全体を通して意味不明でジョンが作った造語Crabalockerや、意味をなさないstupid bloody Tuesday 等の表現が続く。

音楽的にも複雑怪奇で、エンディングは「エンヤートット 大漁だ~え~」で有名な「斎太郎節」のリズムを使っているほど。ジョン本人曰く、この曲は100年経っても色褪せないほどの渾身の作だったのだが、ポールのHello, goodbyeのB面に甘んじたことが気に食わなかったようだ。ドラッグの影響とは言え、ビートルズの楽曲の中で最もぶっ飛んだ楽曲の一つであることは間違いないだろう。

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